過去数十年間、自己免疫疾患 (AD) は世界中で急速に増加しています。原因として、遺伝・環境要因、感染症、喫煙などが考えられてきました。最近では、腸内微生物叢ゲノム解析から、腸管以外のAD患者(多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、全身性エリテマトーデスなど)では、健康な人と比較すると、異なった腸内微生物叢組成を持つことがわかってきています。自己免疫疾患マウスを使った実験からも、腸内細菌叢の変化が、症状の緩和・寛解と関係していることがわかってきています。本稿では、腸管以外のAD疾患における、腸内細菌叢の組成や機能の変化について、また、腸内微生物叢が自己免疫にどのように影響するかについてまとめ、さらに、我々が予防や治療目的で試みている、AD患者の腸内微生物叢がどのように調節されているかについても述べています。
Eiji Miyauchi*,Chikako Shimokawa*, Alex Steimle, Mahesh S. Desai, Hiroshi Ohno
‘The impact of the gut microbiome on extra-intestinal autoimmune diseases’
Nat Rev Immunol, 09 May 2022*共同筆頭著者