研究&メンバー紹介

寄生虫が持つ寄生適応能力を可能とする様々な因子を同定し、その性状解析を通して他分野への応用を目指す。寄生虫の3区分(原虫・蠕虫・外部寄生虫)について研究を進めていく。


01 リーシュマニア原虫が持つマクロファージ操縦機能の解明

  ~免疫の多方位制御に向けて~

リーシュマニア原虫はマクロファージ(Mφ)に寄生し、免疫システムから免れ続けることができる。
Mφは、生体内で炎症性反応と獲得免疫誘導に重要な役割を果たす。リーシュマニア原虫のMφ制御因子を同定し、がんやアレルギーなどの免疫関連疾患を制御する薬剤に応用する可能性を探る。

代表者)
後藤 康之
東京大学,大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授
aygoto@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

研究分担者)
小南 友里
東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教

藤井 渉
東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教

中尾 洋一
早稲田大学, 理工学術院, 教授


02 寄生虫由来物質による宿主ー腸内細菌間の相互作用の解明

  ~衛生仮説の科学的証明に向けて~

腸管寄生蠕虫は宿主内での防御機構を回避し、長期間生存するために、宿主の免疫を変調させる術を備えてきた。この特性は、過剰な免疫応答を抑制することで宿主にも恩恵を与えてきたとされる。近年、先進国においては衛生環境の向上により、腸管寄生蠕虫の感染率は激減し、相反するように自己免疫疾患・肥満・アレルギーなどの炎症性疾患が増加してきた。これは衛生仮説と呼ばれているが、実際に寄生虫感染が、どの疾患にどのように関わっているのかはほとんど明らかになっていない。それを踏まえ、本研究では、寄生虫-腸内細菌-宿主相互作用が宿主の生理・病理に及ぼす影響の分子機構を詳細に解明する。

代表者)
下川 周子
国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長
chikakos@niid.go.jp

研究協力者)
久枝 一
国立感染症研究所, 寄生動物部, 部長

大野 博司
理化学研究所・総合生命医科学研究センター, グループリーダー

永田 典代
国立感染症研究所, 感染病理部, 室長


03 吸血節足動物の唾液

  ~薬理学的効能の解析と利活用~

宿主動物に対し「寄生されていることすら気づかせない」寄生生物が独自に発達させた生存様式については、未だ十分に着目されているとはいいがたい。とりわけマダニ等の吸血性節足動物が保有する唾液生理活性物質については、医薬品としての創薬を前提に多くの有用分子が発掘されてきた経緯があるにもかかわらず開発途上の段階にある。そこで本研究では、吸血性節足動物、特にマダニの唾液物質における抗アレルギー作用、血管新生抑制作用および抗血液凝固作用について、Functional Screeningを中心に研究を推進し、既存薬との対比を行うことで革新的な「マダニ唾液物質由来の創薬R&D」を目指す。

代表者)
八田 岳士
北里大学, 医学部, 准教授
htakeshi@med.kitasato-u.ac.jp

研究協力者)
勝村 啓史
北里大学, 医学部, 准教授

川田 逸人
北里大学, 医学部, 特任助教

岩月 正人 
北里大学, 大村智記念研究所・熱帯病研究センター, 准教授(センター長)

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