私たちの研究について
寄生虫は、ウイルスや細菌と比較すると、宿主への慢性的な感染を継続する。つまり、宿主への適応が必須で、寄生虫はさまざまな宿主介入機構を持っている。一方、我々も寄生虫感染という選択圧によってさまざまな免疫機構が形成されてきている。寄生虫は、人の免疫系に影響を及ぼす物質を多数持つ生物資源なのである。
社会の成熟に伴い、寄生虫症が世界的に減少している一方、がんやアレルギー、自己免疫疾患などの免疫関連疾患が増加している。現代社会において寄生虫感染状態を再現することで、免疫バランスの調節がうまくいくかもしれない。しかし、寄生虫を感染させる方法ではリスクが大きい。このため、本研究では、寄生虫そのものを用いるのではなく、特徴を模倣した製品を開発する「パラサイトミメティクス-寄生虫模倣」という分野開拓を目指す。